スタッフブログ

【「奇跡の一本松の根」展 内藤廣建築 】

スタッフの日常

尾見 和敬

2023.03.25

こんにちは、アーキテクト事業部の尾見です。

先日、前々から見学してみたいと思っていた建物「紀尾井清堂」・東京都千代田区紀尾井町に位置し、一般社団法人倫理研究所が所有する建物です。設計はなんと、内藤廣建築設計事務所!

内藤廣氏といえば、日本建築学会賞をされている鳥羽市立「海の博物館」や村野藤吾賞などを受賞されている高知県の牧野植物園内にある「牧野富太郎記念館」、虎屋店舗などの建築を多く手掛けられている私の好きな建築家の一人でもあります。

2011年3月11日14時46分頃に東北地方太平洋沖を震源に発生した大地震、風化させてはいけない災害です。この大震災がもたらした大津波によって陸前高田にあった松原の松、約7万本が根こそぎ流されてしまった中、高さ27.5m・幹の直径約90cmの松の巨木1本が葉を残したまま、流されず残ったというお話は皆さんもご存じかと思います。これがいわゆる「奇跡の一本松」復興のシンボルとなった松です。

しかし、地震による地盤沈下、津波により根元に海水の侵水などの影響により枯死が確認されたようで、その後震災の記憶の一つとしてモニュメントとして保存整備される事になったようです。

その後、伐根された根は、深さ約1.6m、幹を中心に直径13m、樹齢は推定で180年近い松であったと。

内藤廣氏は、陸前高田市などの復興に携わっており、高田松原津波復興祈念公園・陸前高田市東日本大震災追悼施設・陸前高田市立博物館などのの設計も手掛けている事から、奇跡の一本松 根の存在を聞きつけ同人が設計施工した紀尾井清堂にて展示会の開催を試みたという経緯があったようです。

様々な背景を理解し、いよいよ建物、根の見学に!

細かな杉板型枠によるコンクリート打放しとガラスファサードの外観に、木製造作扉を開けた先には、木材がふんだんに用いられた、4層吹き抜けの大空間、天井を見上げてみれば、9つの大きな逆すり鉢状のトップライトが。

そんな温かみと重厚感のある建物にも、まけず、力強さを感じる「根」があの震災大津波にも耐えた根が展示されていました。

言葉にするのは難しいのですが、根から感じる強さを全身に受け、自身に置きかえ瞑想した一日でした。

Category

アーカイブ