スタッフブログ

職人として

2022.08.31

皆様こんにちは。

秋めいてきました・・・太るのが心配です、北澤です。

以前に実家に行き何気なく置いてあった炉壇に目がいきました。
作者は実家稼業の大工。私の従弟です。

いつの間にやらこんな仕事もできる様になったのかと感心しました。
どこを見ても文句のつけどころがない。これはお茶室に設置する炉縁の下にとりつく炉壇です。
種類も色々とあるのですが市販のものは値段もかなり高く作りもそれなり。
それならば作っちゃいましょうという事だと思います。市販の物より良く出来上がっています。数十万の値段をつけても問題ない出来栄えです。
茶室を作る際は気が抜けません。職人も設計も真剣に向き合い、現場に毎回出向き
現場の状況を判断し職人と打合せしながらの作業。どちらかがミスをすれば現場に全て現れます。
和室は失敗は許されません。
失敗をごまかせるものが無いのです。大工が削ったところ、切ったところが仕上がりで見えてくるんです。切り間違えた、材料を落として傷つけたという事で高い出費になります。

仕事をする時は何事にも『魂こめろ』『ホゾ穴の中に観音様を彫り込む気持ちでホゾを掘れ』
『そのひと削りで分が合わなくなる、目で見て想像しながら削るんだよ』自分の気持ちが仕事の仕上がりに表れてきます。いい加減な人はそれなりに、きめ細かな人は繊細な仕上がりに。
これには職人のプライドが関係している部分でもあります。大工が魂込めて作るわけですから他の業者さんも神経質になって作業をします。失敗は許されません。
『綺麗な仕事をすれば気持ち良いだろ?』親方だった叔父に良く言われた言葉です。
歳をとってもプライドだけは捨てたくないですね。
お客様にとっては家を建てる、一生に一度の一大イベントです。
営業、設計、施工管理、職人が一丸となって綺麗なハーモニー奏でなければなりません。
だれ一人がかけても良い家は建たない。
この歳になって職人時代が懐かしいと思うようになりました。
若い時代は仕事もできず一人取り残されたような気持ちもあり、早く仕事を覚えたいという焦りもありましたが今思えば仕事に携わるすべての人がフォローしながら助けてくれていたんだと思えます。
1つの物を皆で作る楽しさ、チームワーク、助け合い、責任感を感じました。
従弟の作った炉壇を見て昔を懐かしく感じたひと時でした。

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