スタッフブログ
【 建築が語る物語─片瀬山Project 仕上げの現場から】
住宅
こんにちは、第一建築事業部の尾見です。
7月に入り、いよいよ本格的な夏が始まりましたね。
梅雨はどこへ行ってしまったのか…と思うほどの暑さが続いています。
皆さまも熱中症にはくれぐれもご注意いただき、体調管理をしっかり行いながら、楽しい夏をお過ごしください!
さて、長期プロジェクトとして進めてきた
藤沢市片瀬山の《303 Project》が、いよいよ完成の大詰めを迎えています。
施工期間はおよそ2年。住宅としては非常に長期にわたるプロジェクトでした。
鉄筋コンクリート造の1階と、KES構法による木造2階を組み合わせた“混構造”の建物で、片瀬山の岸壁に寄り添うように静かに佇んでいます。
実は、地上から見える建物の背後には、約3メートルも掘り下げた地下構造が隠れています。
強固な杭工事と堅牢な基礎を築いたうえで、ようやく目に見える構造物が立ち上がったのです。



1階部分の鉄筋コンクリート外壁には、杉板型枠を用いて打設しました。
コンクリートでありながら木の温もりを感じることができる、美しい木目模様が現れ、やわらかな表情をつくり出しています。
2階にはKES構法を採用。木造ならではの骨格の美しさと構造的な強さが調和し、建物全体に力強い印象を与えています。
構造そのものが空間の美しさを引き立てる、見応えのある仕上がりです。


竣工は2025年8月末から9月初旬を予定しており、9月中旬には一般内覧会も開催させていただきます。
ぜひ、皆さまにもこの唯一無二の建築をご覧いただければと思います。
さて、下の写真をご覧ください。
この「錆びた箱」のようなもの、何だと思いますか?


実はこれ、1階書斎の“窓枠”なのです。
素材は「コールテン鋼(耐候性鋼板)」という特殊な金属。
自然に錆を発生させたうえで、その表面を安定化させ、あえて“味”として塗装・仕上げを施したものです。
時間とともに深みを増す素材感は、建物全体に落ち着きと重厚感を与えています。
またこの建物には、大工さんの高度な技術が随所に活かされています。
戸枠や建具の納まり、継手や刻みなどは、すべて現場で加工・製作されたもの。
図面をもとに、手仕事で仕上げてくれているのです。



いつも笑顔で、道具の手入れを欠かさない――
そんな職人の鏡のような大工、司さんの存在も、この建物の完成に欠かせない重要な要素です。


足場も外れ、これからはいよいよ植栽・外構の施工へと進んでいきます。
最後の仕上げに向けて、気を引き締めて丁寧に進めてまいります!


