スタッフブログ
世間体って気にしますか?
海
自分が思う事、経験からきた話をしたいと思います。
日本文化には世間を気にして『年相応』という言葉があります。
年齢に応じた容姿、行い、服装を着なさいという意味だと思います。
孤立し固まった偏見の有る言葉だと自分は思っています。
それを良しとして行動する人もいますが、それはその人の人生なので
なんの意見も反対もありません。
ただ私は冒険心も何の発展も無い言葉だと勝手に思っています。
歳を重ねたら大人しくしていなさいとでも言いたいのか。
以前、叔母に『もう年なんだからバイクなんか乗らないで落ち着いたら?』と
自分を心配するかのように父の葬儀の時に言われた。
『もう年なんだから』バイクを乗る事に対する偏見なんでしょうか。
バイクは若い人が乗るものという考えもあるのかもしれません。
70歳になってもバイクに乗って風を感じている方は大勢います。
私は年齢に関係なく自分が気に入った洋服があれば購入して着る。
やりたいことがあればやってみる。
年齢なんかに縛られていたらなんの楽しみも冒険心も無く精神的にどんどん年を取るだけだと思います。
周りの目など気にせず自分の殻を破って好きな事をする。
自分の一度きりの人生です。世間を気にして生きていても面白くないでしょ(笑)。
それを当たり前の様に人様に意見する人もいますね。ナンセンスです。
なんでこんな気持ちになったかというと・・・。
葉山に引越しシーカヤックを始めてからご縁があり
NHKのドラマにもなったマッカーサー元帥に喧嘩を売った
男として有名なお父様のご子息Sさんとひょんなことからお友達になりました。
息子さんご本人も立派な人生を送り気品ある方です。
当初、そんな有名な方の息子さんだとは知りもしませんでした。
文学に疎い自分が知っても『だれそれ?』で終わったと思いますが(笑)。
自分的には海で会うちょっと変わった面白いおじさん。
年にして10歳位上の人生の先輩です。私の事を『かずさん』と言って仲良く
してくれました。海で会うと一緒にシーカヤックを漕ぎツーリングに出かけたりもしました。
また、私の人生における行動や発言にもいつも応援してくれました。
一番嫌いな理不尽な出来事で話をしても意気投合意見も同じ。
頑固な爺様、お洒落な人、高貴な雰囲気のある方だなといった印象。
洋服や持ち物も拘りがありお洒落な方でした。家には親の形見だと高そうな蕎麦ちょこが無造作に置かれていました。お母様も有名な文豪でもあり古美術の世界でも名の通った方です。
私の父親もその方の本を数冊持っていました。
横浜の気性の荒い港町で育った自分は人の名誉や地位等、身分も関係なくその人と馬が合えば
仲良くする性格。友人に面白い爺様Sさんの話をしたら驚き『北さん・・・その人知らないの?』と馬鹿にした顔でどんな凄い人かを教えてくれた。
正直『だから?』という思いしかなかった。自分の性格上友人として付き合うのに
そんな事はどうでもいいのです。性格が合わなければどんなに有名人だろうがお金持ちだろうが意味ないんです。自分に合う合わないもあるし相手も同じ事を考えているでしょう。
自分の事を嫌いだと思えば縁がなかっただけ。それだけです。
Sさんとは、一緒にお酒を飲みに行ったり私の自宅で鍋を囲んだり。
年はだいぶ離れていますが私たち夫婦に良くしてくれました。
嫁の親戚からシカの肉の塊を沢山頂いた時もどうやって処理するか悩んでいると
肉屋まで手配してくれて切って頂き一緒に食べようと誘ったら家に招待してくれて
シカ肉を前に酒盛り。
私が頸椎を痛めた時に靴底を変えると姿勢が良くなり直ると聞いたことがあると
高価な靴底をわざわざプレゼントしてくれたり、アラブ国の友人に洋服を頂いたが自分には大きすぎるから、かずさん着てくださいとプレゼントしてくれたりと本当に良くしてくれました。
ある時、私の近所に会席料理屋がありSさんが一緒に行かないかと誘いがあり
出かけました。
店に入るといきなり女将が『〇〇さんですよね!』っと興奮気味に話しかけてきた。
どこどこでお見かけした、友人が知り合いと矢継ぎ早に話してきた。
Sさんの反応は『・・・注文したいんだけど良いかな』なんだかそっけないな(笑)。
嫁が『なんだかそっけない反応ね(笑)』
『いちいち反応してたら疲れるでしょ(笑)』あの手の人に無視を決め込むのは以前から知っていた。
自分の利益だけを考え愛想良くしてくる人・・・確かに自分も避けている。
この爺様、我が道を行くタイプと思っていたけど徹底している。
知らない人には愛想笑い等一切しない。偏屈な返事をする時もある。
あのマッカーサー元帥に日本を守るために喧嘩を売ったお父様の子なんだなと思った。
部屋の中が暑かったので縁側で月を見ながらSさんと話をするなかで
『Sさんは世間様や知らない人には厳しいんだね』と尋ねると
『厳しいんじゃなくて世間を気にして生きてたら疲れるでしょ、楽しくない。
人生短いんだから好きな事して生きるのが一番』
私たち夫婦の前では朗に笑い楽しく酒を飲み馬鹿話もする。
家に帰り妻が『あなたは損得で人を選ばないし気を使わなくて良いタイプだからかな』
『なにが?』
『Sさんが良くしてくれるの(笑)』
『損得ねぇ、世間体かぁ・・・嫌いだなその言葉』
次の日から自分の辞書に世間様を気にせず好きなように生きる!という
言葉が追加されたわけです。なんにでも挑戦してみる。
例えば綺麗なブルーのセーターがあれば着てみる。かっこいいデザインのGパンがあれば
履いてみる。楽しそうな事があれば挑戦してみる。
年相応、世間体など気にしない。誰のためでもない自分の人生なんだから。
私たち夫婦はSさんからは色々な影響を受けた。本当に出会えて良かった。
Sさん、先日お空に旅立たれました。
Sさんとの思い出は人生で大切な大切な良き思い出となっています。
人生の転機にもなった出会いでした。
夫婦で愛した人でした。
いつかまた酒でも飲みたいです。
本当にありがとうございました。