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2022年問題をご存じですか?

2022.05.14

こんにちは、スターホーム広報室の佐藤です。
突然ですが、「2022年問題」という言葉をご存じでしょうか?
世には「20XX問題」とういう言葉が多く存在していますが、この「2022年問題」は特に農家さんや不動産屋さん、ひいては弊社のような建築会社にも関係してくるような問題なのです。
今回はそんな2022年問題について、お話ししたいと思います。


事の始まりは今から30年前、「生産緑地法」から始まる

「生産緑地法」という法律があります。
これは1974年に「都市計画と農林漁業との調和を図る」ために指定された制度で、都市と農業や漁業などがうまく共存できるようにするのが目的でした。
しかし、都市が発達するにつれ、緑地や農地がどんどん売られていき、第1次産業(農林水産業)が立ち行かなくなる危険性が出てきたのです。


そこで、今から30年前の1992年、農地を「生産緑地」と「宅地化農地」に分け、生産緑地に関しては「30年間の建築制限を設ける代わりに、相続税の納税猶予や固定資産税の優遇措置」を与えたのでした。


そして今年、2022年が、「30年の建築制限」が解除される年にあたり、特に不動産業界が大きく揺れ動くことが予想されているのです。


これから何が起こる?所有者が取れる選択

それでは、30年の建築解除がなされた緑地および、その所有者はどのような選択をとることができるのでしょうか?


①市区町村に買い取りを求めることができる
自治体に時価で買い取りを求めることができます。しかし、現状市区町村が買い取りした実績はあまりないようです。


②そのまま農地として活用する。
税制優遇は段階的に撤廃されてしまうため、後継者不足に悩んでいたり、数年以内に宅地にする計画がない場合はあまりこの選択肢を取る方は少ないかもしれません。


③特定生産緑地の指定を受ける
この法律を制定した国も「このまま2022年を迎えたら、あっという間に緑地がなくなってしまうかもしれない…」という危険性は察知しており、その対策として2017年に「特定生産緑地制度」が作られました。この制度により、「生産緑地に指定されて30年が経過する前に特定生産緑地指定を受けることで、期間を10年延長(繰り返し可)すること」が可能になりました。

※2017年には生産緑地法も改正され、生産緑地の面積の条件が500㎡以上→300㎡以上になったり、生産緑地内に建てられる建物の種類が増えたり(製造販売所や、レストランが追加)しています。いずれも緑地の確保、農業収益の安定化を目的としています。

④宅地化する
建物を建てて、建築収入を得る方法です。アパートを建てたり、不動産会社に渡して宅地開発などを行います。


不動産市場はどうなる?

2017年の法改正により、以前よりも緑地の宅地化は抑えられるという見方もありますが、昨今の宅地の枯渇化は深刻さを増しており、不動産流通数もここ1~2年は低水準で推移しています。
土地価格が大幅に下がる!という過信は禁物ですが、何かしらの影響はあるのではないでしょうか。
参考に、神奈川県内の生産緑地は約1478ha(30坪戸建て約149292戸分)あります。長い目で、動向を見ていく必要がありそうです。


まとめ

いかがでしたでしょうか。
直近で土地が大放出されたり、価格が大幅に下がる、といった動きは少ないかもしれませんが、10年後にまた何かしらの動きがある可能性もありましたね。
いわれてみれば、農家直営のレストランも最近よく耳にするような気がしませんか?
政策を知る→社会を予測することもできます。

今後もこのような情報をどんどん発信していきますので、お楽しみに!

参考:https://landix.jp/blog/tips59/
https://www.zeirisi.co.jp/souzoku-nouchi/productive-green-2022/
国土交通省 §2 都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況 (22)生産緑地

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